DiscordでAbletonのエディションは何がおすすめか質問されたので回答した答えを元に付け加えたものです。noteで書き直すかも。
演奏ができる人に向けての文章ですね。
演奏ができる、特に鍵盤やパッドが弾ける人はMIDI入力の手間がかからないので、MIDI周りの編集機能がそれほど必要ないということもあります。
## Ableton、何がおすすめ
### 特にこだわりがないのならStandardでよいのでは?
Ableton Liveの購入を検討されているのであれば、Standard版がよいかと思います。実際にAbletonがご自身の制作スタイルに合うかどうかは、使ってみないと分からない部分も多いので…
suiteは高機能ですが、お値段それなりにします。他のDAWを使いこなしていらっしゃる方は既にプラグインもお持ちでしょうし。SuiteとStandardの大きな違いはエフェクター、音源の数、Pack、M4Lです。
私のように<span style="white-space: nowrap;">オールド・スクール</span>嗜好の人は、音源は全く必要ないということになるかもしれません。PackはMaschineなどのExpansionsと同じようなものです。テーマに分かれて、音源、サンプルなどがあります。
公平を期すために書いておくと、Abletonの音源やエフェクターは高品質です。今の音楽を作るのならいい。
ただ、<span style="white-space: nowrap;">オールド・スクール</span>なソウルやファンク、R&Bなどをされる方は、不満が残ると思います。単に好みというだけなんですよ。
**私はAbletonのエフェクトは原則使いません。**
UtilityとAutofilterくらいです。
これは私の好みが違うということです。作れなくはないですよ。特に生ドラム系はふざけているのかというくらいありません。逆にリズムマシン系統はふざけてるのかというくらいあります…
Ableton、なんでもできるDAWとは全く違います。これは、他のDAWと違いますね。
それなら、お手持ちのプラグインを活用されたり、DAWをお持ちではないのなら、エフェクトは[Mixbox](https://murinaikurashi.com/ik-multimedias-mixbox-is-very-useful/)などのAbletonでは弱いアナログモデリング系統を揃えたり、音源は個別で買ったほうが安いです。
およそ32,000円の差がStandardとSuiteがあるのですが、それなら、音源やエフェクトを揃えたほうが満足いくのではないかと思います。
### IntroよりStandardの方がよい理由
Intro版では、機能的に物足りなくなる可能性が高いです。
そして、IntroではAbleton12の目玉である、MIDIツール群が使えないです。人によっては全く不要なものではあるとは思います…。
あと、トラック数が足りない。オーディオとMIDIで16トラックはさすがに厳しいです。
![[Pasted image 20250818081522.png]]
### Abletonは大きく他のDAWと異なる
ただ、Abletonは他のDAW(Logic Pro, Cubase, Studio Oneなど)とは操作体系が大きく異なるため、その独特なワークフローがご自身に合うかどうかですかねえ…
Suiteの全機能を使える30日間の無料体験版があるので、試してから、どのエディションにするか判断されたらよいと思います。
本格的に他のDAWから移行する場合、最初からSuiteを選んだ方が、結果的に習得コストは低くなるかもしれません。
そういうときにsuiteあるとM4Lというもので機能拡張できるんですけど、それはsuiteだけなんですね。
他のDAWで当たり前にできることができなかったりします。
そういう場合、M4Lでいろいろできることが増えたりします。ようやく11でコンピング、12でMIDIノートの分割、12.2のアップデートの目玉が驚くなかれ、Bounce in Placeです。主要DAWには20年前に実装されていた機能です。
かなり古くさいところは古くさいです。イメージと真逆だと思うんですけれど。
Auxが12とか、アウトボードでシステムを組んでいる人ならふざけてるのかということにもなるかもしれない。できないことは本当にできません。
Abletonは、演奏しながら素早くループを作成するような即興的な制作に非常に強いんですけど、他のDAWと比べてかなり使い心地が違うんですね。
あと、**ショートカットキーを暗記しないと使い物になりません**。
ツールバーを画面に表示しないという設計思想なので。また、ショートカットキーの変更はできません。キーマッピング、MIDIマッピングはありますが、全ての機能にアサインできるわけではないので、手が悪い人には本当に厳しいDAWです。
私はいろいろツールで工夫しています。
[ AbletonにPan Lawはないの?](https://murinaikurashi.com/post-26138/)
[Abletonでアウフタクトはどう考えている?](https://murinaikurashi.com/post-25368/)
[Abletonでショートカットキーが無いコマンドをショートカットキーで操作する方法](https://murinaikurashi.com/post-22123/)
旧ブログには[Abletonについて](https://murinaikurashi.com/category/music/ableton/)いろいろ書いてあります。消したのもあるけど、400記事くらいはあるかな?
今後は[note](https://note.com/urinami/m/m0930ad1cedf4)に完成した記事は移していきます。こちらをご覧いただくほうがいいかな。
作成中の[Abletonの電子書籍](https://note.com/urinami/m/m747f39fef5f7)は、他DAWと作法が違うことについてかなり書いてあります。
### でも、楽しいですよ
ここまで書くと、「あんた、なんでAbleton使ってるのや…」となりそうですけど、欠点を補う利点があるからです。
Abletonはできないことは全くできない一方でできることは他のDAWより圧倒的に早かったりしますからね。
Ableton的なセッションビューは他のDAWには導入されたのも増えましたけど、そこは本家。自由度は圧倒的に違います。
セッションビューでラフに作ってから、アレンジメントビューに持っていき、さらに、セッションビューで作成する。こういうのはAbletonでしかできません。
思考を止めずに流れるように使える。そしてね、視覚的にうるさくない。
また、PUSHが使えることは大きいですね。PUSHは単にパッドとして使ってないんですけれども。他のDAWでも工夫すれば使えるんですけど。
Captureしてセッションビューでループを作って、止まらずに曲の形に持っていける。ジャムっぽい作り方ができます。
諸手を挙げて、最高とはいえません。でも楽しいですよ!