[Homebrew Computer Club の最初期の Newsletter](https://arkive.net/gallery/homebrew-computer-club) を見ていると、アンケートをしていたり、ネタを募集していたり、かなり双方向性があったことがわかります。ニュースレターの読み手には、編集者にひとつテキストを送ってあげようか、というノリがあったのでしょう。楽しそうなので [[Project Theory Probe]] ではずいぶん参考にしています。
文書を送ったり集めたりすることを、郵送よりも簡単にしてくれるはずのインターネットですが、個人的にはそのポテンシャルを実感する機会がもっとあってもいいのになと思っています。不特定多数向けのプラットフォームや、プライベートな用途にデザインされたツールはたくさんあるのですが、その中間がまだまだありそうだと思うのです。[[Homebrew Computer Club]] のように数十人で盛り上がろうと思ったら、インターネットをどう使えるでしょうか。住所や電話番号を交換する習慣が失われているぶん、1975年当時よりもやりづらい状況があるかも知れません。
[[Project Theory Probe Journal]] のひとつのトライは、ページを分割しないということです。各 Issue のすべてのテキストはひとつの HTML に収められ、くっついていてバラバラにできません。むしろひとつのテキストを読んでいると、必ず隣のテキストが目に入ってきます。通常、インデックスとコンテンツに分かれがちなウェブページを、新聞のように両方兼ねたものにしてしまおうということです。そして実はこの形は、不特定多数向けでも私信でもない中間的な表現の、一つの可能性なのではないかと思うのです。
インデックスとコンテンツの区別を消滅させると、テキスト相互の関連について (リンクをクリックする操作などの) 手続きを用意したり、事前に解釈を与える必要がなくなります。ここが重要な部分で、リンクでは関係を明確にしなければならないところが、並置であれば暗黙的にできるのです。関係性のありかたが無数に確保されている、と言い換えてもいいでしょうか。そして、テキストをそう配置するということは、テキストを書いた人をそのように扱うことでもあるのではないかと思うのです。隙間があって見通しのよい紙面、空間は、心地がよいです。初期の Homebrew Computer Club Newsletter もそんな、自分だったらこんなこと書こうかな、と思える場だったのではないかと想像します。